なぜ組織の定着率を上げるといいのかを経営視点で考えてみる

以前に在籍していた会社で、経営者の方から「なぜ人のフォローが必要なのか?」と聞かれたことがありました。

その時は「組織には人が大事だから当然フォローして、定着率を高めたほうがいいでしょう」と感情で物事を言っていました。

立場が経営者になり、見える世界が少しずつ変わってきました。今回のブログでは、「経営視点で、なぜ組織の定着率を上げると良いのか」その理由について紹介します。

①採用コストを抑えて他に投資できる

人が定着している組織では、基本的には退職補填での採用活動というのがないので、未来を見据えて今必要な人材を採用するための投資に回すことができる。

定着率を高めることで採用コスト自体を下げることができるだけでなく、未来を見据えて今必要な人材を戦略的に採用することができるため、組織を次のステージに引き上げることができる。

②教育コストが抑えられる

人を採用すると、その人の力を発揮してもらうために入社後に入社時のオリエンテーションや現場でのOJT研修などの教育が行われます。

しかし、残念ながら人が辞めてしまうと、入社時から辞めた時点に至るまでに会社がその人に費やした教育のコスト全て無駄になってしまいます。入社時には歓迎ランチ会や飲み会などを行うこともあるとは思いますが、その時間も含めて全て無駄になってしまいます。

またこの問題はタチが悪く、そもそもいた社員の100%の仕事のうち、一部を切り崩して新たに入社した社員に仕事を引き継いでもらうことになります。仮にその新入社員が辞めた場合、どういうことが起きるでしょうか。

元々の仕事を持っていた社員が、その仕事の100%の仕事のうち数10%かを他の誰かに引き継ぎます。引き継ぐことで仕事の容量が減った分だけ、あなたの業務に着手することになります。ただ引き継いだ先の社員がやめた場合、その社員が持っていた仕事はもともとのその業務をやっていた社員が再び引き継ぐケースが多いのです。

最終的に全てを受け持つことになった社員は、100%以上の仕事を引き受けることになります。この場合には明らかにキャパシティーオーバーになり、結局は元々いた社員も退職することになってしまうという事例を数多く見てきました。

人が定着し辞める人が少なくなることで、直近で入社した人が次に入社する人に仕事の進め方や、環境、人間関係などについて教えてくれるようになります。必然的に人の教育コストはどんどん低減していきます。

③心理的安全性が確保される

新卒の採用している企業では必ず耳にしたことがあると思いますが、新卒で退職を考えている人に「そもそも転職を意識したタイミングとはいつからですか?」と聞くと「同期が退職した時」という答えが返ってくることがしばしばあります。

つまり想像以上に仲間の退職と言うのは人の心に影響与えるということです。既存の社員が会社に残ってくれるため、新しく入ってくる社員に仕事の進め方などを教えてくれる。これが働く人の心理的安全性につながります。

なぜ組織の定着率を上げるといいのか

組織に人が定着することというテーマで、経営者視点からの「コスト」という点について着目してみました。これらはまさに「人が辞めるときに発生する損失コスト」に値します。

経営者視点で考えるということは「組織には人が大事」というパッションで話すのではなく、人×組織の状況が改善した場合に全体のコスト構造はどういう風に変わるのか、ということを考えることになります。コストから考えて意思決定に寄与するということがCHROや人事に求められる資質の一つだと思っています。

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