皆さんこんにちは。RECOMOの橋本 祐造です。
今回は「これからの時代を生き残るための人事戦略についての話」をします。
コロナウイルスの影響で会社、経営に様々な影響が出ているかと思います。そんな中で経営者がどういったところの視点を見て、いつまでにどのような人事戦略を打っていけばいいのか、というところの話をします。
2020年4月の頭に政府から「緊急事態宣言」が出ました。緊急事態宣言の終了後も、数カ月、場合によってはもっと数年の単位で、ウイルスを発端とする問題がまだまだ起きてくるのではないかと考えています。
なぜこういう話を私ができるのかというと、今までいろいろな災害や危機的な状況、例えばリーマンショックや東日本大震災など、いろいろな企業の中で、まさにその人事領域で経営者とやり取りをする中で、どういう風にその問題に向き合って、乗り越えていったのか、もちろん、今の影響を受けている中でいうと、そうした自然災害とかいろいろな経済の災害とは別なウイルス感染に基づくので全てがイコールではないのですが、他の企業の経営者がどういう風に乗り越えてきたのかを見てきたから、になります。
今、経営者に求められている考え方
最初に結論ですが、こういう時こそ本質的な課題、まさに経営者が経営の仕事を出来ているのかどうか、自分が経営者としてこの経営の仕事がきちんと回っているのかどうかを見直すというところが一番ポイントではないかと考えています。
具体例を出します。
貴方が仮にスポーツシューズメーカーの経営企画職だったとします。
経営者から

今、うちの会社のこのブランドシューズがアメリカで売り上げが落ちている、特に地域が特定していて西海岸で売り上げが落ちている、この原因を探って次の戦略を考えてくれ
と言われた時、貴方はどこから手をつけていきますか?
ほとんどの方が次のような分析をするかと思います。
- 前年と同月の売り上げを確認する
- 内部環境や外部環境がどうなっているのか
- 競合他社がどうなっているのか
- シューズ全体の売り上げがどうなっているのか
もちろんそれ自体は間違っていません。
結局、現状分析をした上で問題を解決していくのかに、ほとんどの方は終始するのではないかと思います。
状況変化や難局を乗り越える経営者の特徴
これまで様々な経営者と一緒に働いてきて分かったのですが、状況変化や難局を乗り越えていける経営者には共通する特徴があります。
それは、現状の課題をどうするのかではなくて、「そもそもの課題は何なのか」、今回の例での本質的な課題として出てくるのは何かというと
- 人はなぜ走るのか
- 人はなぜ靴を履くのか
というところの課題から入っていくということです。
これこそ本質的な部分で、シューズの自社ブランドを分析する前に人はなぜ走るのか?人はなぜ靴を買うのか?数あるたくさんのシューズメーカーの中からなぜ自社を選んでくれるのか、というように、自分たちがどの市場で戦っていて、その本質とは何だろうというところら逆算して返ってきた時に課題の本質が見えてきます。
今はそういう状況で、目先のコロナウイルスの問題に対して例えば、「運転資金が回らない」「設備投資にお金が足りない」などの課題があり、いろいろなところから融資を受けることがあると思うのですが、解決はそういう形だけではなく、経営者はもっと先の視点、自分たちが実際3年、5年、10年先の世界で一体どういう風なありたい姿にあるのか、というところから逆算して考えていかないといつまでたっても目先の課題がずっと置き続けることになってしまいます。
解説動画はこちら
経営者が本来する経営の仕事
目先の課題の起きているところを手段として解決したとしても、結局次の同じレベルの課題がまた降ってきてしまいます。
同じところをぐるぐる回ってしまう状態になるので、これを解決するには、問題の本質がどこにあるのかということです。
問題の本質は、常に未来のありたい姿から逆算して、今がどういう風に回っているのか、すなわち現状が「ありたい姿にきちんと向かっているのか」というところを確認することが必要です。
こういうところが疎かになりがちになってしまう、どれだけビジョナリーな経営者であったとしても、目先の課題は緊急度も重要度もMAXな状態に見えてしまいます。
なぜかと言うと、経営者に現場から「今うちの部署はこういう課題をかかえています。」「お客様がこういう課題を持っています。」と切羽詰まって来るわけです。
自分も従業員やお客様に愛情があったり思いがあったりすると、目の前で大切な人が困っている状態なのでその課題に対して何とか向き合いたい、解決したいと思うものです。
しかし、それをするのが本当に経営者の経営の仕事なのでしょうか?
もちろん目先の課題を放置するわけではなく解決するためのチームを組んだり、体制を組んだり、ルールを決めたり、マニュアルを作ったりすることが会社としてするべきことだし、その作るということの指示を出したり体制を構築するのがまさに経営者のすべきことです。
それを進めてく上で経営があるべき姿、ありたい姿というところから逆算して考えていくと、自分たちがどこに向かっていて、そしてどうありたいのかということになります。
この部分を日頃から経営者のメッセージとして発信していく、社内・社外に対して発信していくことが非常に求められると考えています。
ありたい姿から逆算して、今何ができるのかを考える
これからの時代を生き抜く人事戦略の根源は、経営者が経営の仕事をする、すなわち経営者が自分/会社が何年後かのありたい姿から逆算した時に、今どういうことが出来るのかを考えていく、そしてそれをベースに、人が会社やチームとかの接点を持つ時の施策の部分で「採用をこういう風にしよう」「入った後のオンボーディング・フォローアップはこうしよう」「人事の評価はこうしよう」「人事の労務はこうしよう」「福利厚生はどうしよう」、後は研修、社内のカルチャー、そういったものを全体に自分たちのありたい姿を施策を通じて浸透させていくというのが、正に今やるべきことです。
それこそが王道の部分で、これからの時代を生き残るための人事戦略の根幹の部分になります。
現在、目先で色々な課題が起きていると思います。
私もいろいろな企業の経営者から「今、何とかこの状況を乗り切りたい」という話をたくさん伺っています。
もちろんそこも意識を持ちつつ、空いている時間はなかなか無いかもしれませんがビジネスパートナーの方とか外部で話を聞いてくれる人がいるのでしたら、そういう方たちと壁打ちをしながら自分たちが一体これからの時代をどうやって生き抜いていくのか、そしてどうありたいのかを見通す時間をぜひ持って頂いて、その思いを持ちながら「では今、どうしたらいいのか?」というところを全体に浸透させていくということをやって頂けたら嬉しく思います。