企業文化と戦略はどちらが強いのか?

経営者向け

皆さん、こんにちは。RECOMOの橋本 祐造です。

今回は『企業文化と戦略はどちらが強いのか?』をテーマにお話させていただきます。

経営に携わる方は、「企業の文化を強くしないといけない」「事業を成長させるための戦略を描かなければいけない」など、さまざま考えることがあると思います。

しかし、この「企業の文化」と「戦略」を機能させることに苦心されている企業様が非常に多く、「どうしてもうまくいかない…」という相談をいただくことも増えてきています。

その中で、私がよくお話させていただくのは、

「企業文化と戦略を切り離して考えてしまっていることが一因としてあり、これらは、セットで考えないとうまくいかない」ということです。

私もこれまでに多くの企業様の文化形成や戦略策定のご支援に携わらせてもらっていますが、「企業文化」と「戦略」の関係性について、どのように文化をつくり、それをどう戦略と紐付けていくのか、自分なりに考えてきたところがあり、今回はその内容をアウトプットさせていただきます。

 「文化は戦略に勝る」のか?

まず、企業文化に関しては、多くの経営者や学者の方々が言葉を残しています。

たとえば、ピーター・ドラッカーは「文化は戦略をペロリと平らげる」と言っています。

すなわち、「文化が優先されて戦略は後です」ということで、「文化は戦略に勝る」とピーター・ドラッカーは言っています。

これは確かに正しい部分もあり、企業が何よりも優先して考えるべきは文化だと思います。企業の文化を、自分たちらしいより良いものにしていくのか。ここに集約・集中されてきます。

多くの経営者の方も「戦略とか戦術は何でもいい」とおっしゃっており、それよりも自分たちの文化が大事で、自分たちらしさをどうやって大事にしていくか、を重要視されているように感じています。

ですので、会社のミッション、ビジョン、バリューをつくり、それを大事にしていくことを重要視している方もたくさんいらっしゃいます。

だがしかしです!

文化が戦略よりも勝っていて、「文化のことだけを考えればいい」となった時に、「本当にそれが正しいのかな?」と疑問が出てきます。

みなさまは以下のような経験はないでしょうか?

経営陣が「自分たちの理想像はこれだ!」「世界観はこれだ!」「ミッション、ビジョン、バリューはこれなんだ!」と口酸っぱく言っているにも関わらず、現場では「全然そんなことは関係ない、目先の売り上げや事業をどう伸ばすのかが一番重要で、経営陣の考えなんて聞いてない」という状況です。

これは、経営陣やマネージャーが言っていることと、実際に現場で行われていることが乖離しているというケースですね。

文化重視で進めていった結果、経営と現場で乖離が起きていた。多くの企業で起こり得ることだと思います。

解説動画はこちら

 

「文化」と「戦略」は共存するものである

これは別にどちらがいいとか悪いとかではなく、企業文化と戦略というのは基本的には共存するものだということです。

どちらが偉い、どちらが強いのかということでもないのです。

結局は、企業文化として自分たちが大事にしている「らしさ」や「独自の価値観」と、実際に現場での業務が「ズレていないのか」が、一番大事なポイントなのです。

言っていることとやっていることがズレていた時に何が起こるのか。

「この会社大丈夫なのか?」「うちの経営陣大丈夫なのか?」「うちのマネージャー大丈夫なのか?」という不信感や不安感が現場から上がってくるのです。

これは離職や生産性の低下につながるもので、最終的に会社にとって非常に大きなダメージとなります。

当然ですが、このような不信感、不安感を払拭し組織を改善・改革するためには、非常に多くの労力を要します。

場合によっては会社自体、組織自体がそもそも崩壊をしてしまうケースも、今までにたくさん見てきました。

企業の文化だけを大事にするのでもなく、企業の戦略だけを大事にするのでもなく、言っていることとやっていることをきちんと一致させ、共存させることが一番重要なのです。

AppleやFacebookに見る「文化」と「戦略」の関係性

たとえばApple社を事例にお話させていただきます。

何かというと、Appleは完璧にデザインされたシンプルな状態を非常に大事にしている企業なのです。

いろいろなプロダクトをつくる時、いかにシンプルでデザインが洗練されている状態なのかに一番拘っているのです。

しかし、そのような文化があるにも関わらず、戦略が「金額が高くていいものをつくっても仕方がないのでコストを下げていこう」「安くてみんなが使いやすい価格にどんどん落とす低コストの戦略を取ろう」となったら、どうなるでしょうか?。

「最先端の、洗練されたデザインこそが自分たちらしさだ」と言っているにも関わらず、「低コスト戦略でお金をかけずにいこう」となった場合、空中分解してしまいます。

すなわち、企業文化と実行する戦略がそもそも合致しないわけです。

今でこそAppleはこれを両立させる戦略を取っていますが、以前は実際に経営陣が変わったタイミングで低コストの戦略を取りにいきました。

そうした時にやはり組織がズタズタになってしまい、結局デザインもイマイチになり、低コスト戦略も機能せず、結果として顧客がどんどん離れていったという状況に陥りました。

文化と戦略を一致をしていないと、企業ブランドにもつながっていきません。

また、Facebookを事例にお話させていただくと、彼らが一番大事にしているのは「素早く動いて破壊していく」です。

これは、お客様のニーズの変化があれば、ただ構えているだけでなく、どんどん素早く動いてその状況を変えていこうということです。

これが、Facebookが企業文化として大切にしている部分になります。

そして、その文化にあわせて戦略も実行されています。

ですので、頻繁にデザインや機能のアップデートが行われており、ユーザーに合わせて動き方を変えていけているのです。

一方で、「素早く動いて破壊していく」ということが、極端な例になりますが、飛行機をつくっているボーイングやエアバスに当てはめると、どうなるでしょうか?

そこだけを切り取って飛行機をつくり出したら、当然ですが、事故が起こりまくるわけですね。

そうすると、そもそも言っていることとやっていることが違ってきてしまいます。

経営者の役割は「文化」と「戦略」ズレをチューニングしていくこと

また、企業の文化や戦略も、企業の状態やフェーズによって変わっていくべきだと思っています。

特にVUCAと言われている近年では、そのときどきで「何が適切なのか」が頻繁に変わってくるため、コア・バリューは残しつつも、状況をに合わせて柔軟にチューニングしていくこともポイントになってきます。

今回の話というのは、企業のフェーズや状況によって本当にさまざまだと思います。

小規模のフェーズから大企業に至るまで、あらゆる場面で、あらゆる問題が起こり得る話です。

小規模フェーズありがちなのは、

「うちはもう全然小さいから、企業文化とか戦略とかあまり気にしなくてもよい。とにかく会社・事業を拡大させるための戦略だけ取っていけばいいのだ!」というケースです。

その結果、それについて行く社員の方々は「結局自分たちは一体何のためにここにいるのだ?」と、疲弊していってしまいます。

もちろん、目先の事業を拡大させること、それも大事なことなのですが、「その事業を拡大させた先には一体何の世界が見えるのか」を示すことが重要です。

そこが企業文化につながってくるし、「自分たちがそこを大事にしているからこそ、今はここを頑張るのだ」という文化と戦略の方向性を一致づけることを忘れてはいけません。

当然これは、成長するにつれてたくさんのズレが生じてくるものです。

それを随時調整をしながら文化と戦略を合わせていく、チューニングしていく必要性があるのではないかと考えています。

正にこのチューニングこそ、経営者・経営陣が役割として担うべきところです。

また、「自分たちが一番大事にしているものは何か」という、自分たちらしさ、独自の価値観を日頃から発信していくことも大切なことです。

たとえば、評価のタイミングや、採用のタイミングなど、あらゆる場面において、日頃からずっと発信し続けるわけです。

それをやる中で、採用戦略、組織制度、事業戦略などを決めていく際に、この文化、自分たちらしさを組み込んで反映させていくことが必要です。

このように、本当に細かいところの積み重ねなのです。

一見すると地味なのですが、発信し続け、各施策にまで落とし込み反映していくという、この積み重ねが、企業文化をすみずみまで行き渡らせることになります。

ですので、企業文化、戦略を考える際には、「それぞれをどうしていくべきか」ではなく、共存するものとして、「いかに自分たちが言っていることとやっていることを一致させるのか」を意識しながらつくっていくといいのではないかと思っております。

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